海外ドラマを観ながらの英語学習は、楽しみながら続けられるのでおすすめです。
今回おすすめする作品は『ブル 法廷を操る男(BULL)』です。
『ブル』の概要
主人公ブルは3つの博士号を持つ心理学者。
陪審員裁判で陪審員の心を心理学を駆使して巧みに操り、依頼人の無罪を勝ちとるのが仕事です。
今回の依頼人はIT会社の億万長者。
息子ブランドンの弁護を、ブルの会社であるTAC社に依頼します。
高校生のブランドンは、パーティーで関係を持った少女メリッサの殺害容疑がかけられています。
ブルとチームは、12人の陪審員と類似性が高いそっくりな人物を集めて、模擬裁判を繰り返しますが、なかなか上手くいきません。
そんな中、ブルは評決を動かすキーパーソンは陪審員の一人ベスと判断して、ベスを取り巻く状況を調べ始めます。
捜査が進むにつれ、ブライアンを好きなテイラーという女の子とその家族が事件に関与していることが分かってきます。
その後は、ブランドンの心の闇、父親との関係、歪んだ考えのテイラーと両親など、ストーリーは驚くべき方向に展開していき…。
シーズン5も決定した、人気の新感覚ドラマです。
『ブル』の評価
ジャンル | ヒューマンドラマ、ミステリー |
セリフの速さ | |
セリフの量 | |
日常英会話で使える度 | |
旅行英会話で使える度 | |
ビジネス英会話で使える度 | |
笑い・ユーモア | |
1話の長さ | 43分 |
シーズン1放送開始年 | 2016年 |
製作国 | アメリカ |
『ブル』の発音
標準的なアメリカ英語の発音で、スピードはそれほど高速ではありません。
一文が短めで、キャラクターの長台詞もほとんどないので、文章の構造が理解しやすく、リスニング難易度は中級程度です。
ただ毎回冒頭で、その回のテーマについて一般市民が短いコメントをするシーンのみ、発音やスピードが様々で聞き取りづらいかもしれません。
裁判のシーンでは、有利にことを運ぶため、一般市民である陪審員にいかに分かりやすく説明するかがポイントなので、難解な言葉は登場せず、使われている単語はほとんどが中学校レベルです。
『ブル』で学べる英単語やフレーズ
- call the shots
- live up to
- give up on
1) Somebody has to call the shots.
Somebody has to call the shots.
(誰かが舵を取らないと。)
冒頭で、ブルが依頼人ピーターズの弁護士をなだめるために言っています。
call the shots は「采配を奮う」「仕切る」「物事を決定する」「決定権がある」 という意味です。
ビジネスやスポーツでよく使われますし、家族や兄弟・姉妹の間の力関係を表すのにも使える表現です。
同様の意味で、call the tune という表現もあります。
You have to call all the shots here because you’ve become the boss in this team.
(あなたがこのチームのボスになったんだから、全てを仕切らないと。)
I was spoiled as an only child and I used to call the shots in my family.
(私はひとりっ子だったので甘やかされて育てられ、家庭の主導権を握っていたものだった。)
call the shots の語源は、軍の射撃訓練に由来する説があります。
射手が正しいターゲットにショットをすると、次のショットをコール(狙うターゲットを事前に示すこと)しますが、より有能な射手ならばショットをコールする権利がより多くあったことから、その場をコントロールすることを指して、call the shots という表現が生まれたというものです。
コールやショットというと、飲み会のコールやショットを連想してしまいますが、それとは違う意味の表現ですね。
イディオムも、語源を学びながら覚えると、楽しみながら身に付けられます。
2) He has lived up to those expectations.
You basically told him he wasn’t worth your time and he has lived up to those expectations.
(彼はあなたに邪険にされ、顔色を伺って生きている)
ブルが銃撃を受け病院にいるピーターズに対して、彼の息子ブランドンについて語っているシリアスな場面です。
live up to は「期待に応える」「信念に従う」という意味の句動詞です。
ドラマの台詞と同じように、expectations (期待)とセットで使われることが多いです。
ドラマでは「(彼は自分には価値がないという)期待に応える」というニュアンスで使われています。
I’ll do my best to live up to your expectations.
(期待にそえるよう、ベストを尽くします。)
「信念に従う」というニュアンスでは、名言の中で以下のように使われています。
We must have ideals and try to live up to them, even if we never quite succeed. Life would be a sorry business without them. With them it’s grand and great.
(私たちは理想を持ち、たとえ上手くいかなくても、理想にそって生きなければいけません。理想がなければ人生はつまらないものになります。理想があってこそ素晴らしいものになるのです。)
ルーシー・M・モンゴメリ 『アンの青春』より
句動詞には複数の意味があるため、まとめて覚えると表現の幅が広がります。
3) Don’t give up on people.
Don’t give up on people.
(人を信じるんだ。)
ブランドンが隠し事をしていると悟ったブルが、ブランドンに問いかける第1話の見所の場面です。
ブランドンは父親から愛情を受けられずに育っており、本当のことを言う勇気がありません。
そこで人を信じて本当のことを話すよう、ブランドンを励ましている場面で使われています。
give up はよく聞く「あきらめる」という表現ですが、give up on は「〜に見切りをつける」「〜を断念する」 という意味の句動詞です。
人に対して使うときは、これまで繋がりのあった人に対して、「失望して信頼を失なう」「見限る」「匙を投げる」「愛想をつかす」というようなニュアンスで使います。
Don’t give up on me!
(私を見捨てないで!)
恋人が自分から去っていくときに、泣き叫びながら言うようなイメージですね。
She gave up on her husband because of his repeated affairs.
(彼女は、度重なる浮気により夫に見切りをつけた。)
自分自身のことではあまり使いたくない表現ですが、知っているとドラマや映画が面白くなるフレーズです。
『ブル』はこんな方におすすめの作品
- ビジネスシーンの表現を勉強したい方
- 落ち着いた表現を勉強したい方
- 最新トピックや社会問題についての表現を知りたい方
『ブル』で英語学習の感想
職場が舞台なので、ビジネスシーンで使える表現を多く学習できます。
その一方で、パーティーやレストランなど職場以外のシーンもあるので、大人のカジュアルな会話も学習できます。
主人公ブルは50代、チームメンバーは20〜40代で、男女比は半々というキャラクター構成比。
高校生や若い女の子が主役のドラマと違い、大人のストレートすぎない言い方、比喩、表現、冗談の言い方など、そのまま真似できそうな表現で溢れています。
またSNSからの情報が陪審員や一般市民に与える影響の大きさ、LGBTのキャラクターが自然に登場すること、見た目で判断されることへの対応、女性への偏見など、現代社会のトピックが随所に盛り込まれています。
そのため実際の英会話でも、これら時事問題を取り入れやすいです。