海外ドラマを観ながらの英語学習は、楽しみながら続けられるのでおすすめです。
今回おすすめする作品は『ダウントンアビー(Downton Abbey)』です。
『ダウントンアビー』の概要
『ダウントンアビー』は今世紀最高傑作の英国サスペンスドラマとして、全世界に社会現象を巻き起こした作品です。
時は1912年4月。
ダウントン・アビーはイギリス・ヨークシャーの貴族の邸宅として、威厳ある佇まいを見せていました。
ダウントン・アビーに暮らすのは、クローリー家と大勢の使用人達。
その朝届いたタイタニック号沈没という知らせは、世間を驚愕させたのはもちろんのこと、クローリー家にとっても暗く、大きな影を落とします。
クローリー家の長女メアリーの婚約者も、その犠牲者に入っていたからです。
当時あった「限嗣(げんし)相続制」は、女系の相続を認めていませんでした。
メアリーは婚約者と結ばれ、その子供に全てを相続させるはずだったのです。
爵位・財産を守りながら相続する方法は、メアリーが他の親族の相続人と結婚し、その子供にそれらを受け継がせること。
財産の中には、クローリー家当主ロバートが何に変えても守ろうとしている屋敷ダウントン・アビーも入っています。
一家は全てを守るため様々な画策をしていきます。
一方、大勢の使用人達がいる中、当主の従者として新しく雇われたのが当主の戦友です。
その存在は、くすぶる派閥、出世争いに新たに変動をもたらします。
豪華なドレスを着て舞踏会を楽しむ、そんな華やかなイメージがある貴族の世界ですが、その現実は爵位や財産、名誉を守るため、一家も使用人もそれぞれの立場で「戦い」を続けています。
名誉の象徴であるダウントン・アビーは守られるのでしょうか。
貴重な『ダウントン・アビー』のスクリプト!
本来、海外ドラマのスクリプト(script / 台本・脚本)はドラマ関係者でないと手に入りませんが、実は『ダウントン・アビー』のスクリプトは出版されており、大変貴重です。
洋書なので、ある程度の英文を読む力は必要ですが、台詞なので小説よりも読みやすいです。
また台詞の背景やト書き(シーン説明)もまとめられているので、英語学習はもちろんのこと、『ダウントン・アビー』の世界をより深く楽しむことができます。
『ダウントン・アビー』がお好きなら、ぜひ手に入れて、「ドラマ鑑賞⇄スクリプト確認」を繰り返しながら、楽しんで英語学習を続けてください。
『ダウントンアビー』の評価
ジャンル | ヒューマン、恋愛、歴史 |
セリフの速さ | |
セリフの量 | |
日常英会話で使える度 | |
旅行英会話で使える度 | |
ビジネス英会話で使える度 | |
笑い・ユーモア | |
1話の長さ | 45分〜1時間10分 |
シーズン1放送開始年 | 2010年 |
製作国 | イギリス |
『ダウントンアビー』の発音
綺麗なイギリス英語です。
爵位に関することなど、日本語でも馴染みのない単語が出てきますが、歴史にも触れることのできる作品です。
『ダウントンアビー』で学べる英単語やフレーズ
相続をめぐって繰り広げられる貴族一家の物語。
綺麗な英語をどんどん吸収しながら、歴史背景や習慣も合わせて学ぼう。
- just for once in my life
- inherit
- We were all so fond of him
- your late husband
- be at stake
- turn in
- 猫を使った表現
1) just for once in my life
使用人たちの朝の始まりは早いです。
使用人にも階級があり、執事や主人の従者からメイドまで様々。
その中でも最も階級が低いのは雑用係。
「使い走り」のデイジーがメイドを起こして回ります。
デイジーの声で目覚めたメイドがうんざりした声でつぶやきます。
Just for once in my life, I’d like to sleep until I woke up natural.
(一度でいいから、自然に目を覚ましたい。)
just for once in my lifeで「一生に一度でいいから」という言い回しです。
Just for once in my life, I want to beat the champion.
(一度でいいから、チャンピオンを倒してみたい。)
連戦連勝のチャンピオンに打ち勝つのは一生の夢ですね。
Just for once in my life, I’d like to travel around the world.
(一度でいいから、世界一周旅行してみたい。)
世界中を旅する、夢ですよね。
just for onceだけだと「今回限り」という意味になってしまいますので、「一生に一度の夢」という場合はin my lifeを忘れずにつけましょう。
2) inherit
このドラマのキーワードの一つ。
inheritは「相続する、受け継ぐ、継承する」という意味で、相続人はinheritorです。
My child will inherit the mansion.
(私の子供がこの屋敷を相続します。)
mansionは日本語の「マンション」を指すものではなく、屋敷を意味します。
She inherits the business.
(彼女が事業を受け継ぎます。)
爵位(title)、そして屋敷を含む財産をどうやって娘に相続させることができるか、このドラマの大きなテーマです。
3) We were all so fond of him
be fond ofで「like(好き)」です。
タイタニック号の事故で命を落としてしまったメアリーの婚約者。
彼を偲んで夫人が呟きます。
We were all so fond of him.
(彼はみんなに好かれていた。)
時にlike=loveとなる場合はありますが、be fond ofをloveの代わりに使うことはほぼありません。
I am very fond of chocolate.
(チョコレート、大好き!)
He is fond of movie stuff.
(彼は映画に関するものが大好き。)
I am so fond of this boy.
(この男の子がお気に入りなの。)
例文のように、好物や趣味、趣向に関してlikeの代わりに使うことができます。
4) your late husband
lateの意味として有名なのは「遅い」「遅れた」「最近の」ですが、意外と知られていない意味として「亡き〜」があります。
your late husbandなら「あなたの亡き夫」となります。
deadを使うのとは違い、直接的ではないので、丁寧な表現となります。
話の対象者がすでに亡くなっていて、それが承知されている場合は過去形の文章でも充分に話が通じますが、lateをつけることでより明確に表現できます。
例えば、初対面の人に、すでに亡くなってしまった祖父の話をする場合、my late grandfatherといえばスッキリと説明ができるのです。
lateの後に誰か人を示す名詞が置かれた場合は「亡き〜」となると覚えておいてください。
5) be at stake
新しく従者として屋敷に雇われたベイツは当主の戦友でもありました。
ただ彼は足に障害があり、使用人達の間で「役に立たない」と懸念されていました。
そして公爵(duke)を屋敷に迎えた日、ベイツを貶めようとする使用人のせいで彼は「失態」を晒してしまうのでした。
当主ロバートは戦友としてのベイツを庇います。
しかし執事のカーソンは主張します。
But the honour of Downton is at stake.
(屋敷の名誉に関わります。)
*名誉を表すhonourはイギリス英語です。アメリカ英語での綴りはhonorとなりますが、発音は同じです。
be at stakeは「〜に関わる」「〜に懸かっている」「〜が問題になっている」というフレーズです。
stakeという動詞には「(大事なものを)危険に晒す」という意味があります。
なので、このセリフには「屋敷の名誉が危険に晒されている」という内容になります。
使用人にとっても屋敷の名誉は重要なものなのです。
特に執事としては、公爵という身分の高い人の前で晒してしまった失態を見逃すことができないのです。
ある日、あなたの良からぬ噂が流れます。
事実無根。
それを証明できる友人は何やら歯切れの悪い様子。
My reputation is at stake.
(私の信用に関わっているんだ。)
なんとか友人を説得するしかありません。
6) turn in
turn inで「〜へ曲がる」「〜へ入る」という意味になりますが、「go to bed」という意味もあります。
基本的に単体で使われるフレーズなので、inの後に目的語がつくことがありません。
I’ll turn in early tonight.
(今夜は早く寝るつもりだ。)
What time did you turn in last night?
(昨夜は何時に寝たの?)
You better turn in soon.
(そろそろ寝たほうがいいよ。)
7) 猫を使った表現
There’s more than one way to skin a cat.
(方法は一つではない。)
skin a cat、猫の皮を剥ぐ、なんて少しドキッとするフレーズですが、「方法は一つではない、対策は他にもある」という決まり文句です。
ベイツを追い出そうと企む使用人たちがボソッと呟きます。
猫を使ったことわざは
- Care kills a cat/Care will kill a cat「病は気から」
- Put the cat among the pigeons「騒動を起こす」
- Curiosity killed the cat「すぎた好奇心は怪我の元」
など他にも色々とあります。
『ダウントンアビー』はこんな方におすすめの作品
- 英国貴族社会に興味がある方
- 上品なイギリス英語を身に付けたい方
- 歴史ドラマに興味がある方
『ダウントンアビー』で英語学習の感想
時は第一次世界大戦前。
史実を交えながら進む物語はリアリティに溢れています。
ドラマなどを見る際にいつも参考にするIMDb(Internet Movie Database)でも10ポイント中8.7ポイントと高い評価を受けています。
イギリスの階級社会や身分制度など少し難解な部分もありますが、その中での人間関係や派閥争いなどは興味深い部分です。
総称として「使用人」となりますが、その中でも執事がいたり、従僕がいたり、メイドがおり、それらの名称や役割は独特なので、そこも押さえてドラマを見ると、楽しみがより深まります。
イギリスのドラマはセリフスピードがゆったりしている傾向なので、発音に慣れてしまうと、聞き取りは難しくありません。
また、例えば「職業がある」というのは、貴族から見ると「卑しい身分」となるなど、教科書では学べない発見もあり、英語と歴史背景を同時に学ぶことができます。
日本人が描く一般的な「メイド」のイメージは、決して全て間違っているとは言いませんが、一度そのイメージを捨てて観てみてください。
使用人たちはその仕事に就いていることを誇りとし、立派な主人をも誇りに思って働きます。
主従関係や階級の上下で、話し方や言葉選びも違ってくるので、そこも学びのポイントなります。
「相続人」メアリーの愛の行方も気になるところです。
開戦を間近に控えて暗い影を落とす中、一家とその使用人たちの未来に果たして希望はあるのでしょうか。
『ダウントンアビー』が観れる動画配信サービス
『ダウントンアビー(Downton Abbey)』はHuluで配信されています(最新の配信状況は公式サイトでご確認ください)。
Huluは「定額制」&「全動画が見放題」になる動画配信サービスです。
英語字幕や吹替の切り替えができ、2週間無料トライアルでも観ることができますので、ヒューマンドラマや恋愛作品が好きな方は視聴してみてはいかがでしょうか。
海外ドラマを楽しみながら英語学習もできて、おすすめです!